キョウバシラウンジ 小林正明 Visual Communication Now! 講座に行ってきた

川の畔のお地蔵様

写真は好きだけど、いまいち写真でなにをやりたいのかが定まらない。今後もっと深く写真と関わっていきたいけれど、深く広い写真の世界に、どんな形で関わっていったらいいのだろうか。そんなことを考えていた矢先、京橋のTokyo Institute of Photography (TIP)で、写真業界の最新トレンドと今後についての講座が開かれるというので、行ってみることにした。写真素材サービスの老舗、ゲッティイメージズジャパンの小林さんによるお話。

ゲッティは1995年にロンドンで設立され、商用の写真、映像、音楽等の素材を提供している会社だ。そこで小林さんは日々大量の写真を見、「売れる写真」を探している。写真には大きく分けて、報道、広告、アートの3つの分野があるが、小林さんが扱うのは主に広告の写真なので、講座の内容としても広告写真が中心となった。「広告写真はその時代を写す」と小林さんは言う。今の写真のトレンドを知ることで、これからどう移り変わっていくかが見えてくるという。ゲッティの見る近年の写真のトレンドは「Glitch(見てざわざわする、少し奇妙な表現)」、「Point of View(主観視点、体感型)」、「Super Sensory(五感に訴える表現)」の3つ。極端に顔のブレた写真(Glitch)、歯医者のベッドの上で歯科医さんに顔を覗きこまれている写真(Point of View)、お菓子を食べている口元の超クローズアップ(Super Sensory)などを例に挙げていた。

商業写真を扱う立場からの視点ということは念頭に置きながら聞く必要があったものの、日々大量の質の高い写真に接している氏の言葉にはいちいち重みがあった。自らを写真狂と呼ぶほど写真が大好きだということもよく伝わってきたし、それが講座をずいぶん楽しいものにしていたと思う。スライドの文字は小さすぎて読めなかったけど。「ドアはノックしなきゃ開かない(写真コンテストに応募しろ)」「クリエイティブはここにある、見つける、作るものだ」「継続することが大事」「自分の作品は他と何が違うのか、明快に説明できるように」「自分の世界を客観的に見る機会は絶対に必要」など、商業写真家を目指さないとしても参考になる言葉は多かった。

講座の後には、参加者が持ち寄った各自の写真を小林さんにレビューしてもらう時間があり、僕も意見を伺うことができた。そこで聞いた小林さんの言葉も参考になったが、他の参加者の写真の完成度が驚くほど高く、自分の現在位置をまざまざと見せつけられ、たっぷりと凹んで帰途についた。

写真をやっていく一つの手段として、素材として求められているものを撮るというものがあるということがよくわかった。しかしそれは自分を時代に合わせるということなので、僕のやりたいこととは違っている気がする。やりたいことが見つかるまで、求められているものを撮るという手もあるかもしれない。そんな器用なことができるかどうかはわからないが。