アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生

このジョナサン・アイヴとマーク・ニューソンの写真、いい写真だな。撮ったのはアニー・リーボヴィッツって人か、たしか有名な写真家じゃなかったっけ… そう思って調べてみると、有名も有名、アメリカの有名人を撮り尽くしてきたような人だった。丁度彼女のドキュメンタリー映画があったので借りて観てみた。

クライアント、被写体となった人々、家族、そして本人が語る、アニー・リーボヴィッツとその仕事のこと。撮影現場の映像と本人の言葉から、ただセットを作って被写体を配置して撮っているだけではなく、よりその人に迫るために様々な工夫をしていることがわかる。この人を特徴付けているのはその工夫、つまり撮られる側をベストの状態に保つやり方がとても自然で、なぜならそれはアニー・リーボヴィッツが相手と打ち解けたい、よりよい写真を撮りたいと心から思っているからだと思う。それは親しいダンサーと「(相手と自分の間を指差して)これが本物、(カメラを振って)これはメモとか手紙みたいなものよ」と語る言葉にもよく現れている。

無数のスタッフや鼓笛隊まで動員して撮影するような写真は僕が撮りたいと思うものではないけれど、アニー・リーボヴィッツの家族写真はとてもいいなと思った。全ての技術を織り込んでいながら、それらを全て排除したもの。アニー・リーボヴィッツはそういう、全てを知っていながら全てを捨てられることのできる人の一人だったのだと思う。