Monthly Archives: 12月 2015

キャンソンの印画紙比較(日本写真学院ファインアートプリント勉強会)

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以前モノクロ写真クラスを受講した日本写真学院で、今度はファインアートプリント勉強会というのを受講してきました。岡嶋和幸先生指導のもと、フランスの印画紙メーカー「キャンソン」の扱っている全13種類の印画紙に、自分の写真をプリントできるというもの。

日本写真学院の実習室(The Bright Room)の環境としては、Mac mini+Eizoの外部モニタ、Adobeの最新ソフト一通り、プリンターはそれぞれのMacにEpsonのPX-5Vという顔料インクのプリンターが接続されており、全員が同時にプリントできるようになっています。ちなみにこの部屋は日本写真学院の特定のクラスを修了すると時間制でレンタルできるようになるそうです。学院では市場価格よりかなり安く、かつ1枚単位で印画紙をプリント代込みで購入できるそうで、最終出力の際に利用するのがおすすめとのこと。

他の参加者の皆さんは一枚の写真のみでプリントされていましたが、僕はいろんな種類のプリント結果を見たかったので、欲張りにもカラー2枚+モノクロ2枚の計4枚の写真をレイアウトしてプリントしてみました。プリンターの操作は設定項目が多く混乱しがちなものですが、事前に岡嶋先生がまとめておいて下さった設定表に従って一枚ごとに設定していけばいいので簡単でした。プリント実行の際に必要になるものの1つにICCプロファイルというものがあり、これは特定の紙とプリンターに合わせた設定(紙の白さ、階調性、プリンターの特性など)がまとめられているファイルで、メーカーのサイトからダウンロードしてプリント時に利用するそうです。ただしモノクロプリントにはICCプロファイルは使わず、プリンターによるカラーマッチングを使用することをメーカーは推奨しているということでした。

以下に実際のプリントと雑感を。
(それぞれ上段の画像はクリックして拡大できます)

光沢系

光沢系の紙の違いはマット系に比べると微妙な差ですが、それぞれの紙を見比べるとやはり白さや質感が違うのがわかります。

フォト・グロス・プレミアム・RC (Photo Gloss Premium RC)

Canson, Paper, Photo Gloss Premium RC
Canson, Paper, Photo Gloss Premium RC-2

フォト・ハイグロス・プレミアム・RC (Photo Hi Gloss Premium RC)

Canson, Paper, Photo HiGloss Premium RC
Canson, Paper, Photo HiGloss Premium RC-2

その名の通り光沢感の高い2種。今回の比較した紙の中ではフォト・ハイグロス・プレミアム・RCが一番光沢感が高いものの、フォト・グロス・プレミアム・RCと比べるとその差は微妙。ハイグロスの方がやや暖色寄りの白。

フォト・ラスター・プレミアム・RC (Photo Lustre Premium RC)

Canson, Paper, Photo Lustre Premium RC
Canson, Paper, Photo Lustre Premium RC-2

フォト・サテン・プレミアム・RC (Photo Satin Premium RC)

Canson, Paper, Photo Satin Premium RC
Canson, Paper, Photo Satin Premium RC-2

バライタ・フォトグラフィック (Baryta Photographique)

Bryta Photographique, Canson, Paper
Bryta Photographique, Canson, Paper-2

プラチナ・ファイバー・ラグ (Platine Fibre Rag)

Canson, Paper, Platine Fibre Rag
Canson, Paper, Platine Fibre Rag-2

絹目調の印画紙4種。ラスターとサテンはかなり似ているが微妙にテクスチャが異なり、サテンの方がテクスチャがやや細かい。バライタ・フォトグラフィックは独特の自然で落ち着いた風合いが感じられ、高級感がある。今回一番のお気に入り。プラチナ・ファイバー・ラグは艶のあるマット紙のようでかなり凹凸が大きく、紙質が写真そのものの印象を大きく変えそうです。

マット系

光沢系に比べ、マット系にはテクスチャの強い、個性的な紙が多いです。個性的な紙に負けない写真を選ぶのはなかなか難しく、下手すると写真ではなく紙ばかり見られる… ということになってしまうようです。光沢系の紙に比べ、総じて暖色系。

マット系の紙は厚みがあるため裁断時の紙粉がつきやすく、プリントの際には紙粉をよく払うなど気をつけて取り扱わなければいけません。また染料インクのプリンターでプリントすると滲んでしまうので、顔料インクのプリンターを使用する必要があります。

ラグ・フォトグラフィック (Rag Photographique)

Canson, Paper, Rag Photographique
Canson, Paper, Rag Photographique-2

マット系の中では一番きめが細かく扱いやすそうな紙。無個性というわけではなく高級感もあるし、光沢系のような反射がないのでリアリティも感じられる。マット系では一番好きな質感。

BFKリーブス (BFK Rives)

BFK Rives, Canson, Paper
BFK Rives, Canson, Paper-2

エディション エッチング・ラグ (Edition Etching Rag)

Canson, Edition Etching Rag, Paper
Canson, Edition Etching Rag, Paper-2

アルシュ ベラン ミュージアム・ラグ (Arches Velin Museum Rag)

Arches Velin Museum Rag, Canson, Paper
Arches Velin Museum Rag, Canson, Paper-2

アルシュ アクアレル・ラグ (Arches Aquarelle Rag)

Arches Aquarelle Rag, Canson, Paper
Arches Aquarelle Rag, Canson, Paper-2

モンバル アクアレル (Montval Aquarelle)

Canson, Montval Aquarelle, Paper
Canson, Montval Aquarelle, Paper-2

それぞれ質感の異なるマット紙5種。アルシュ アクアレル・ラグは凹凸が大きく一目でわかるが、それ以外の差は微妙なところ。しかしいずれもはっきりとわかる質感があるので、細部を表現したいような写真には向かないようです。ちなみにエディション エッチング・ラグは綿100%。

フォトアート HD キャンバス (Photoart HD Canvas)

Canson, Paper, Photoart HD Canvas
Canson, Paper, Photoart HD Canvas-2

なんと布製の印画紙。裏地はキャンバスそのもの。プリント面もはっきりと布とわかる質感。一体どんな写真ならこんな個性的な紙に負けないのでしょうか。

総評

カラープロファイルについてすらイマイチよくわかってないまま参加した今回の勉強会でしたが、教室の雰囲気もよく、プリントもきれいなものが得られて満足でした。今すぐ何かに役立つということはないにしろ、展示などで最終出力先を選ぶ際には今回作成したプリントが非常に参考になると思います。紙にはそれぞれ特性があり、表現できるトーンの幅も異なるため、どんな紙に出力するかを考えた上で写真のデータを作っていくのが大事、という先生のお話は特によく覚えておこうと思いました。

正直なところ、画面では紙の良さはほとんど伝わらないと思うので、興味を持たれた方はヨドバシカメラなんかの店頭に置いてあるサンプルを確かめてみるのがいいでしょう。ただ、ああいったサンプルは全部同じ写真でプリントされておらず、比べにくいのが難点ですね。

なおキャンソンではほとんどの種類を網羅したお試しセット「ディスカバリーパック」というのもあるそうなので、こちらを買って自分でプリントしてみるのも一つの手です。マット紙には顔料インクを使えるプリンターを用意する必要がありますが。

輸入代理店のキャンソン製印画紙一覧ページはこちら

デジカメをフィルムスキャナ代わりに使う

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ライトボックスとデジカメを組み合わせるとフィルムスキャナ代わりになるんですが、いくつか問題があります。

  1. ライトボックスにネガを置いただけだとフィルムの平坦性が保てない
  2. カメラの最短撮影距離が長すぎて十分フィルムに近づけない
  3. マクロ撮影ではピント面が浅いのでピントが合わせづらい

こういう場合、ニコンのスライドコピーアダプタを使うのがベストなんでしょうけど、僕のカメラとは機種が違うのでマウントが合いません。わざわざこのためにマウントアダプターを買うのもちょっと。

要はレンズ前面からフィルム面までの距離を一定に保てて、かつフィルム面が平坦にできる筒があればいいわけです。これには綿棒のケースがぴったりです。

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綿棒のケースの底に、フィルムのコマよりわずかに大きい穴を開け、蓋の方には使用するレンズのフード取り付け部の形に合わせた穴を開けます。どっちがどっちでもいいんですけど。

綿棒のケースの底はフチが出っ張っています。フィルムに接する面は平らにしたいので、穴を開ける時に作った型紙を貼り付けました。これで平坦性の確保と撮影距離の固定ができるようになりました。

最短撮影距離の短縮にはカメラとレンズの間に挟むマクロエクステンションチューブを使いました。ただこれを使うと周辺部が流れがちになってしまうので、なるべく絞って周辺の画質を保つ必要があります。

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母の日記帳で遊ぶ姪。

モノが綿棒のケースなだけに安定性はイマイチで、あまり遅いシャッタースピードを選べません。大きなデジイチでの使用には向かないでしょう。手持ちの機材でのトリミング後の解像度は約2800×1900ピクセルで、トーンもそれなりに出ているので、ある程度は引き伸ばしにも耐えられそうです。モノクロフィルムはモノクロ印画紙にプリントするのがベストでしょうけど、家のプリンタでもプリントできると便利ですね。

データ取り込み後はトリミング、トーンの修正、ゴミ除去とけっこうやらなければいけないことは多いですが、気楽に好きなコマを自分のペースで読み込んで調整できるのはいいところかと思います。それにしてもネガのラチチュードは本当に広い。デジタルでは情報が無くなってしまう真っ白/真っ黒なところもちゃんとトーンが残っているので、調整の自由度がとても高いです。

使用機材:
Fujifilm X-T1
Fujinon XF 35mm f/1.4
マクロエクステンションチューブ MCEX-11
ハクバ ライトビュアー5700
綿棒のケース
カッターナイフ
定規
図工の時間気分