Monthly Archives: 6月 2018

峠の散歩






雨の続く少し寒い日に、実家の近くの峠道を歩いた。
老夫婦が言葉少なに追い越して行った。
ハイキングの格好をした人達が爽やかに挨拶してすれ違った。
林の中で親子が虫を探していた。
僕は撮ろうと思っていた花が見つからず
過去の幻を見ながら影を撮っていた。

Appleにバッテリー交換料金の払い戻しをしてもらった

old ragged iPhone 6

2017年10月、かれこれ3年ほど使ってきたiPhone 6のバッテリーがいよいよ劣化してきて、電源が突然切れたり満充電できなくなったりしていた。発表されたばかりのiPhone Xも気になるところではあったけど、iPhone 6に特に不満もなかったのでバッテリーを交換して使い続けることにした。Apple Store の Genius Bar を予約して訪れ、交換料金8,800円でバッテリー交換を行った。かかった時間は30分くらい。バッテリー交換後、iPhone 6はすっかり元通りのバッテリー性能に戻った。

2ヶ月後の12月28日、AppleがiPhoneのバッテリーレベル低下時に意図的にパフォーマンスを低下させていたことが公になり、批判を受けたAppleは今までよりずっと低価格でバッテリー交換を受け付けることを発表した。10月にそれまでの交換料金で交換してもらった身としては少し残念な気分にもなったが、まぁそういうものだと思った。タイミングの悪さよりも、マスプロダクトであるiPhoneはバッテリー劣化を理由に買い換える人も少なくないはずなのに、信頼回復のために安価なバッテリー交換を受け付けて、手元のiPhoneを長く使ってもらうという決断を行ったAppleへの感心の方が強く印象に残った。

そんな出来事も半年ほど過ぎて、すっかり忘れていた2018年6月8日。Appleから「iPhone バッテリーサービスリクエスト」というメールが送られてきた。なんでも昨年末のバッテリー交換価格の改訂を受けて、2017年中の価格改訂前にバッテリーを交換した人に差額を払い戻してくれるという。混雑しているのかメールからのリンクではうまく手続きできなかったが、サポートに電話するとバッテリー交換プログラム専門の部門に繋ぎ直してくれ、無事払い戻し手続きを完了できた。払い戻し金はその日のうちに送金されたようで、翌日には差額の5,600円が振り込まれていた。

iPhoneのバッテリーレベル低下時にパフォーマンスを低下させるという仕様を明示していなかったこと、また個人的には払い戻し通知のメールからのリンク先が正しく動作していなかったこともAppleの失敗ではあるが、いずれも非常に誠実な対応が見られた。そしてそれら、失敗からの信頼回復を可能にする組織づくりは一朝一夕にはできることではなく、Appleの長年に渡るユーザー体験改善の取り組みの片鱗を感じられる一件だった。

印刷博物館のワークショップに参加してきた

海外からのお客さん二人を連れて、飯田橋近くの印刷博物館へ行ってきた。調べてみると、本格的な名刺などの体験講座は予約制で年に数回しか受講できないが、もっと小さな印刷物は無料公開講座としてほぼ毎日開いているようだ。お客さん達は大学のグラフィックデザインの勉強で訪日しているということだったので、活版印刷の体験はなかなか面白いのではないかと思って連れて行ってみた。印刷博物館で活版印刷を体験できるということは以前から聞いていて、個人的に気になっていたところでもあった。

無料公開講座は先着順で、事前に博物館に電話で確認したら土日はだいたい10名前後になると聞いていたので、勧められた通りに15時に開かれるコースの15分前には列に並んだ。今回並んだのは合計10人だったが、全員同じコースに参加できたようだ。

荷物を預け、インクで汚れないよう印刷博物館のロゴ入りのエプロンをつけると、工房の主とおぼしきおじさんが明るく丁寧に活版印刷の道具やその使い方について説明してくれた。活字は摩耗するので大量に必要になるため安い合金で作られていて、落としたりすると曲がってしまうとか、昔は「!」を「よだれ」、「?」を「みみだれ」と呼んでいたことなどを話を聞きながら、宮沢賢治の作品で主人公の男の子が印刷工場で落ちた活字を拾う仕事をする場面を思い出していた。あれは銀河鉄道の夜の一場面だったろうか。

今回は既にイラストが刷られたコースターに、各々がイラストの下に好きな言葉を刷るというコースだった。いろいろ迷って、友人にコースターをあげるのならシンプルな挨拶がいいかと思い、「Greetings!」と入れることにした。小さな活字を指で拾うのはなかなか難しい。拾った活字は上下反対にして組み、ネジで締めて印刷機にはめ込む。言葉を中央寄せにするには、単純に左右をスペーシング用の活字で埋めることになる。工房の主に勧められるがままに「!」の前に4ポイントのスペースを入れてみたが、ちょっと空きすぎに感じたので2ポイントに替えてもらった。今回使った印刷機は手動式のもので、ハンドルに連動してインクを塗るためのローラーと台紙を置く台が動くようになっている。小さいがとても重そうだ。ハンドルを上げるとローラーが跳ね上がって印刷機上部に塗られたインクの上を走り、押し戻すとローラーが下に戻りながら組まれた活版の上を走ることでインクが付いて、さらに台紙を置いた台が活版に押し付けられるようになっている。言葉にするとややこしいが、インクの準備は工房が既に準備してくれていたので、やることは活版と紙をセットしてハンドルを上下させるだけだ。親子の参加者もいて、小さい子供でも問題なさそうだった。

自分が拾った活字がとても鮮明に印刷されるのは、なかなか新鮮な驚きがあった。個人でこの印刷機を買って名刺などを刷っている人もいるそうで、そうしたくなる気持もわかる。いずれ本格的なワークショップも受講してみたい。

お客さん二人もとても楽しんでくれたようで、ギフトショップで3人一緒にエプロンを買って帰った。

かつおの三杯酢

かつおの三杯酢

サクで買ってきたかつおをフライパンで外側だけ軽く焼き色をつける。お皿に塩をまぶし、切り身にしたかつおを並べて、もう一度塩をまぶし、スライスしたにんにくと新玉ねぎをかつおが隠れるほどどっさり盛り付ける。お酢と砂糖と醤油を合わせて作った三杯酢をたっぷりまぶして、生姜醤油で食べる。これがかつおの伝統的な食べ方なのだそうだ。作り方を聞いてからいてもたってもいられなくなり、スーパーで買い求めて自分で作って食べた。切り身を一切れつまんで、それをにんにくと玉ねぎと一緒に生姜醤油につけて口に入れると、うーーーん、としばらく唸るほどおいしかった。旬の食材のシンプルな組み合わせが、こんなにうまいとは。

素材に勝る調理法はない、とはどこかで聞いた言葉だが、まさにこのことだなぁ、と思った次第。